地中熱利用システムの現状とこれから

日本でも普及が進む地中熱利用システム

近年、声高に叫ばれる環境問題。世界的な関心事となっているのは「地球温暖化」ですが、日本においては「エネルギー資源の枯渇」も深刻な問題となっています。現在、日本のエネルギー消費の約8割を化石エネルギー(石炭・石油・天然ガス・LPガス)が占めていますが、自給率はたったの4%。ほとんどを海外からの輸入に依存しています。世界的に見ても、今のペースで化石エネルギーを使い続ければ、いずれ枯渇してしまいます。

こういった環境問題を緩和できるエネルギーとして、今注目されているのが「地中熱」です。地中熱利用システムの普及が進めば、地球温暖化問題の解決、エネルギー資源の枯渇問題の解決は決して不可能ではないはずです。

海外における地中熱利用システム

地中熱(地中熱利用システム)は、天候・地域に左右されない安定性があること、大気中へ排熱を出さないこと、省エネ効果に優れていること、CO2排出量を削減できることなどから、再生可能エネルギーのなかでも今もっとも注目されています。

すでに海外では普及が進んでおり、特にアメリカでは急ピッチで導入が進んでいます。これは、米国エネルギー省が、CO2排出削減のため、そして新たな雇用を創出するため、積極的に地中熱ヒートポンプの設置を推進していることが背景にあると言えるでしょう。さらに、政府の資金援助があることも普及を加速させています。それに比べると、まだまだ日本では普及が遅れていると言わざるを得ません。

図 国内外の地中熱ヒートポンプ積算設備容量と日本の導入ポテンシャル
出典:海外設備容量はlund,2010、日本の2009年までの積算は「地熱利用にあたってのガイドライン」、日本の2020年および2050年目標は「2050年自然エネルギービジョン」のベストシナリオ値

日本での普及状況

海外ほどではありませんが、最近では国内の地中熱利用システムの設置件数も増加しています。2011年の年間設置件数は207件で、2010年の145件に比べ大幅に増加。内訳は、クローズドループ方式が876件で全体の84%を占めています。近年、日本においても普及が進んでいる背景には、国の補助金制度も整いつつあること、設置費用が下がっていること、東日本大震災以降、再生可能エネルギーへの関心が高まっていることなどが挙げられるでしょう。

出典:「地熱利用にあたってのガイドライン」(環境省)

東京スカイツリー×地中熱ヒートポンプ
2012年5月に開業した東京スカイツリーでは、地中熱利用の「地域冷暖房システム」が採用されました。これは、地中熱を利用して地域の冷暖房をまかなうことを目的としており、年間のエネルギー消費量が約43%削減できるとされています。

日本においても、東京スカイツリーに導入されたことで、地中熱利用システムの知名度向上が期待されています。また、さらなる普及のため、2012年3月には環境省が「地中熱利用にあたってのガイドライン」を発表。経済産業省も「再生可能エネルギー熱利用加速化支援対策事業」で地中熱ヒートポンプの導入支援を進めています。

これからのエネルギーのキーワードは「地中熱」。東邦地水も、地中熱利用システムの設計・施工を通して日本の省エネ・環境保全に貢献してまいります。

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